【2016年末企画】 コラム「不屈の男たち」Vol.7 川西翔太
MONTEDIO FREE Wi-Fiサービスで、2016シーズン提供させていただいたコラム「不屈の男たち」をシーズンを振り返る年末特別企画として、ホームページにも掲載させていただきます。
このコラムは全9回、「挫折や苦難を乗り越え、活躍を続ける選手の現在」を取り上げたコラムです。
第7回目は川西翔太選手。奇しくも本日大分トリニータへの完全移籍を発表させていただきましたが、今季はフォワードからボランチへポジションを移し、そのキープ力を活かし、新たな境地で年間に渡り活躍し、成長し続けた姿を取り上げたコラムです。
ぜひこのコラムから、2016シーズンを振り返って頂ければ幸いです。
コラム「不屈の男たち」Vol.7 川西翔太
「プレーの進化からメンタルの進化へ」
今年モンテディオ山形の中盤で貢献度が高かった川西翔太。14年に山形に来た当初はトップ下やサイドハーフに入ることが多かったが、14年後半からは当時キャプテンだった山﨑雅人の影響を受けて運動量を増やすと、シャドーの一角としてポジションを確立させ、プレーオフからのJ1昇格や天皇杯準優勝という躍進に大きく貢献した。
背番号を29から18へと変えて臨んだ今シーズン。キャンプから序盤にかけては3-4-2-1のシャドーでプレーしていたが、第8節から怪我で選手層が薄くなったボランチへとコンバートされる。ただ、一列下がっても高いボールキープ力を活かしながら存在感を出し続け、求められる守備を覚えてプレーエリアを一列後ろに広げることに成功した。
前に出ればアタッカーとして仕掛け、守備でもボールホルダーに強く奪いに行く。様々なスタイルでプレーし、現在のような中盤3枚の形もこなせる。プレーの幅が広がったのは自分にとって良かったと川西は話し、ガンバ大阪時代から現在をこう振り返っている。
「ガンバでは前目のポジションばかりで、自分がやりたいプレーしかやってなかった。山形に来て監督が石さんになって、対応力や守備力とか色々なことをできるようになった。石さんが言ってくれた部分もありますけど、その必要性を感じさせてくれました」
今年高まった守備力と持ち前の攻撃力、そして山形に来てから増えた運動量を兼ね備えた今の川西は、3-6-1の核とも言える中盤ダイヤモンドの両端を担えるだけの、バランスの良い選手に進化を遂げることができた。
そして10月28日に28歳の誕生日を迎えた川西は、現在の自身の課題を精神面に向けている。
「周りのみんなにもメンタルでプレーは変わると言われている。好不調の波も激しいと言われてるから、そういうのもなくしていかないと。試合では当然気持ちが入るんですけど、練習でももっとプレーで引っ張れる選手になりたいですね」
中堅からベテランへと差し掛かる年齢になり、チームに対する考えや貢献も求められる立場へと向かいつつある川西が見習うべき存在として挙げたのは、自分が間近で見てきた先輩たちの名前だった。
「ザキさん(現金沢・山﨑雅人選手)やまっちゃん(松岡亮輔選手)を見ていたら、自分も考え方が大人でサッカーに対する誠実さを持った人にならないと。もっと自覚をもった方がいいんでしょうね」
モンテディオ山形に加入して3年目、そして来年チームに残れば4年目、29歳の年になる。山形でプレーが確実に進化した川西が、次はメンタル面で成長し、大人の考え方を持ってチームを牽引できるようになった時、川西翔太はまた新たな進化を遂げるはずだ。
その自覚も着実に芽生えはじめている。