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POINT of VIEW試合の見どころ

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欲しいのは「得点」と「勝利」、ここから再び走りだせ!

前節・FC今治との初対戦は2-2のドロー。3連敗から2連勝し、クリーンシートの1引き分けを経ての今治戦は、ラストワンプレーで勝点3が1に変わる幕切れだった。前半2-0から追いつかれたことで、改善の目は守備面に行きがちだが、より根本的な原因は攻撃面にある。

「なぜ2失点したかといったところは、しっかりと反省しました。ただ、ああなる前に、われわれがゲームの流れとして、もっともっと攻撃で相手陣地に入ることをしないと。ずーっとあの(押し込まれた)展開でいけば、もしかしたら3点目を食らったかもしれないし、そういうことも大事であるというところは今日しっかりと伝えたつもりです」(渡邉晋監督)

同じことを、二度と繰り返してはならない。そのうえで、シーズンはまだ序盤だ。取り返せる試合はこの先に数多くある。改善すべき問題を改善しながら、目の前の一戦に勝利すること、その勝利を重ねて勝ち続けることをあきらめずにめざし続けること。自分たち次第で、首位との勝点10差はきっと解消できる。

「悔しい勝点1ですけれども、いま負けてないというところをポジティブにとらえて、次にまたホームゲームがあるのでしっかりと勝利をすることで、優勝というものに向かって進んでいけるようにしたいと思います」(渡邉晋監督)

この試合から、今シーズン2度目の3連戦に入る。その初戦は、今シーズン初めて対戦する降格組、ジュビロ磐田だ。第3節からV・ファーレン長崎、カターレ富山と連敗したが、メンバーを入れ替えてその後は3連勝中。前節は開幕6連勝で波に乗る首位・ジェフユナイテッド市原・千葉をシュート2本に抑え、1-0で勝利した。

1年でのJ1復帰を懸け、横浜F・マリノスでヘッドコーチや暫定監督を務めていたジョン ハッチンソン監督を招聘した。攻撃のスタッツではパス数とボール保持率でリーグ1位。ボールを持つことで主導権を握るチームだが、チームとしてどうボールを動かし、ゴールをめざすかのメソッドが確立している印象だ。相手の意図を汲みながら、自分たちの立ち位置を変化させ有利な状況を作り出そうとするのは、モンテディオのスタイルとかなり近いと言っていい。

そのなかで、個々の技術の高さも際立っている。1トップのマテウス ペイショットが現在チームトップの4得点を挙げているが、攻撃でもっとも警戒したいのがジョルディ クルーク。4アシストは現在リーグトップ。力強い仕掛けあり、精度の高いクロスあり、球際も戦えるこの右ウイングを抑え込めるかどうかが大きな分岐点になる。また、20年までモンテディオで4シーズンプレーし、その後はJ1でプレーしていた中村駿も、ボランチの主力としてピッチに立つことが見込まれる。トップ下・角昴志郎のポジショニングも常につかまえづらい。一瞬の隙を突いて数的優位を作られ、ゴール前の勝負に持ち込まれるシーンも覚悟しつつ、それでも粘り強く跳ね返し続けたい。

前回のホームで果たせなかったゴールの歓喜と勝利の歓喜を、4月の空は待っている。

INTERVIEW選手インタビュー

  • DF No.5 安部 崇士 選手

    INTERVIEW
    ジュビロはやっぱり強いチームですし、迫力があるチームだと思います。フォワードのペイショット選手も調子がよさそうなので、彼に仕事をさせないこと。あとは、僕たちはJ2リーグのなかでも強いチームだと僕は思っているので、そこの自信はしっかり持って、ジュビロを倒してもう一度勝ちを引き寄せて、上位に進出していきたいなと思います。

    監督とも話しましたが、どれだけの選手・スタッフが、どれだけのファン・サポーターがいま山形に対して、「今年、優勝できる」と思えているのか。また、「優勝できる」というのをどれだけ発せられるか、という強いメンタリティが、もう1回必要だなと思っています。確かに、1位と10ポイント差あるとは言え、去年10ポイント差なんか跳ね返してプレーオフに行きましたし、自分たちにはそれだけの底力がある。

    メンタルの部分で「自分たちは強い」というのを、どれだけ自信を持って言えるかというのが必要だと思います。
    INTERVIEW
  • GK No.31 寺門 陸 選手

    INTERVIEW
    (前節・今治戦は)自分の力で勝ちを引き寄せられたと思うので、本当にもったいないなという思いが自分にあります。ただ、前を向いて、ポジティブなところだけを考えれば4試合負けてないし、開幕3連敗から始まって勝ちを拾えてきているし、ルヴァンもクリーンシートで勝っていい流れも来ていると思うので、それを消さないように、次はホームでしっかり勝ちたいなと思っています。

    ビルドアップの部分でも試合を重ねるなかで、お互いどういったプレーが得意というのもわかってきていますし、どういうふうにサポートにいてほしいというのはお互いにわかってきているので、もっと噛み合ってくれば、もっと攻撃の幅も広がるかなと思います。

    ジュビロは本当に得点力のあるチームですし、いま山形は失点が目立つと自分でも思っているので、そういう攻撃的なチームをゼロに抑えれば、また自分たちの自信にもつながると思います。ホームなので負けられないですし、クリーンシートで勝てるようにいい準備をしていきたいなと思います。
    INTERVIEW

KEY PLAYER キープレイヤー

國分 伸太郎 選手

ポジション MF
身長 172cm
体重 66kg
生年月日 1994/8/31
出身地 岡山
前所属 ギラヴァンツ北九州

Shintaro KOKUBU

2年前は6アシストでチームアシスト王。昨シーズンの4アシストはチーム4位タイ。順位は下がったが、お寿司をごちそうした選手が次々にゴールを決めるというちょっと変わったアシストで注目された。

チームアシスト王奪回に燃える今シーズンは、開幕からスタメン出場を続けているが、ここまでアシストなし。ただし、得点に関しては3得点でチーム単独トップに立っている。そして、自身のキャリアハイに早くも並んでいる。

注目したいのはその時間帯。第3節・千葉戦では13分、第5節・熊本戦では33分、第7節・今治戦は17分。いずれも前半の早い時間で、そのうち先制点が2つ。今治戦は唯一2点目となったが、早い時間にゴールを決めている。また、開幕の大宮戦以外のすべての試合でシュートを放っているのも特徴。序盤にペースをつかむことが多い今シーズン、チャンスでは積極的にボックス内に入ったり、1トップの選手に絡んだりするなか、ファーストチャンスをモノにする集中力も高い。

その一方で、数字で表しにくい貢献度も相変わらず高い。前節・今治戦、ボランチ・田中渉が積極的に前からプレッシャーをかけにいった場面では、國分は中に絞って中央のスペースを埋め、守備に切り替わっても慌てずに済むポジションを取っている。あるいは第4節・秋田戦。野嶽寛也の鋭いスルーパスから高橋潤哉が4点目を決めた85分のシーンでは、内側を上がっていく野嶽を見逃さず、絶好のタイミングでパスを渡している。さらに遡って第3節・千葉戦でも、左サイドで受けたあと、斜めに差し込むパスでディサロ燦シルヴァーノのクロスからイサカゼインのゴールを演出している。

モンテディオで迎える5年目のシーズン。個人的には常に30試合以上に出場してきたが、チームの目標にはまだ届いていない。シーズン前には、一層強い決意を口にしていた。

「今年は内容より結果のところを突き詰めていく必要があるなと思います。(昨シーズンは)どこかできれいなもの、理想型みたいなところを思い浮かべて試合に臨んでいた部分もあるのかなと思うので、それよりももっと、本当に僕たちが欲しいものは『勝つこと』。本当に『勝つ』というところを特に今年はチームとしても個人としても求め合いながらやっていきたいと思うシーズンです。」

駆け引きする複雑な展開も予想される磐田戦で、チームを「勝利」という解に導けるか。フットボール賢者が力を発揮するには最高の舞台が整った。

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Shintaro KOKUBU