【2016年末企画】 コラム「不屈の男たち」Vol.2 ディエゴローザ
MONTEDIO FREE Wi-Fiサービスで、2016シーズン提供させていただいたコラム「不屈の男たち」をシーズンを振り返る年末特別企画として、ホームページにも掲載させていただきます。
このコラムは全9回、「挫折や苦難を乗り越え、活躍を続ける選手の現在」を取り上げたコラムです。
第2回目はディエゴ・ローザ選手。残念ながら1年でクラブを後にすることになりましたが、真剣に練習に取り組み、そして走り続けたディエゴ・ローザ選手のストイックな姿をこれからも忘れずに頂ければと思います。
ぜひこのコラムから、2016シーズンを振り返って頂き、来たる2017シーズンへの思いを新たにして頂ければ幸いです。
コラム「不屈の男たち」Vol.2 ディエゴ・ローザ
「ディエゴローザ・努力を重ねてチャンスを掴む」
モンテディオ山形にとって昨年オフの最大の課題だった得点力アップに焦点を合わせて獲得したディエゴローザ。15年のブラジル・セリエBで35試合10ゴール4アシストと実績を残したスピードと決定力を兼ね備えるフォワードを、複数クラブとの競合の末に獲得したこともあって、J1昇格請負人として、補強の最大の目玉として、大きな期待が集まった。
ただ、ブラジルで実績を残していてもそれが日本でのプレーや成績に直結するとは限らない。ディエゴローザも来日後は思うようにパフォーマンスを上げられず、シーズン前半戦で先発した試合は3試合のみ。その大きな前評判を裏切る形になった。
しかし、ディエゴローザに関して、石﨑信弘監督は春先から周囲とは少し違った評価をしていた。
「ローザは真面目なんだよなぁ。守備はしっかりやるし、練習も真面目に取り組んでいるし。よく頑張っていると思うよ」
先発で出場しなくなってからも、ディエゴローザは石﨑監督が指名した選手のみで行われる2部練習に自ら志願して参加しており、一日でも早く日本に馴染んでいこうと地道に努力を続けていた。
石﨑監督は選手が練習に取り組む姿勢や態度もしっかりと見ている監督。負傷者が相次いだこの時期に名誉挽回のチャンスを掴むことができた。
大雨の中で行われた7月6日第10節ロアッソ熊本戦で先発すると、水たまりができたピッチを全力で駆けまわり、前半30分にはようやく加入後初ゴール。7月16日第23節ツエーゲン金沢戦でもゴールこそならなかったが、途中出場から相手の守備を翻弄し続けて存在感をアピールしていた。
その金沢戦でのアピールが実って7月20日のジェフ千葉戦で今季5度目の先発出場。「金沢戦でローザが入ってからチャンスが増えたし、影で努力しているからな。チャンスを掴んで先発になったんだからまたここで結果を出してくれれば」と石﨑監督も期待を込めて話し、千葉戦でのディエゴローザは得点こそなかったものの、チャンスに絡み続けてチームに貢献し続けた。
もちろん、自らの努力だけで先発の座を掴み続けられる訳ではない。生き残るためにはこれからまだまだ結果を出してアピールを続けることが必要だ。ただ、ディエゴローザは大人しく真面目な性格をしている選手でもある。キャンプ中のディエゴローザの少し下を向きながらもメディアに一言一言丁寧に話している姿が印象的だった。
ジェフ千葉戦の試合前日に取材に応じたディエゴローザも「練習からベストを出しているし、日本にも慣れてコンディションも問題ない。ゴールやアシストでチームの為にプレーしたい」と、言葉少なげながらも静かに闘志を燃やす。
ディエゴローザの真面目でチームへの貢献も考えてプレーができる性格は、個人も組織も重要視する日本のサッカーには向いている。もう少し時間はかかったとしても、きっと日本に馴染み、開花する日がくるだろう。