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POINT of VIEW試合の見どころ

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ただ目の前の相手を倒し、前に進むだけ!

第7節・FC今治戦ではラストプレーの失点で2-2とされ、前節・ジュビロ磐田戦ではゲームを支配しながらゴールを割れず0-0。リーグ戦で勝ち切るという課題を残したまま、中3日で再びルヴァンカップに向かうことになる。

1stラウンド1回戦では、鹿児島ユナイテッドFCを相手に藤本佳希、イサカゼインのゴールで2-0と勝利した。ルヴァンカップに入る前に、渡邉晋監督は「ルヴァンを獲るぞ」とチーム内に呼びかけている。ルヴァンカップはJ1からJ3までの全60クラブが参加し頂点を競う大会。それを「獲る」ということは、J1を相手にしても勝ち続ける覚悟があるからこそ発せられる言葉だ。その京都戦を前にして、渡邉監督はその覚悟をまた別の言葉で表現している。

「ルヴァンカップで京都さんと戦うことに対して、『俺自身は、胸を借りるつもりなんて1ミリもない』と選手に伝えました。しっかりと勝ちにいくというところで準備をしていきましょう、という話です」

選手にとって、より力のある相手と戦えることは純粋にモチベーションが上がる材料になる。ただし、負けてしまえば、その貴重な機会もこれ以上得られなくなる。相手がどこであろうと、目の前の相手を倒して次へ進む。それがこの一戦の唯一の目的だ。

京都サンガF.C.は今シーズン好調だ。リーグ戦9試合を終えて4勝3分2敗。順位は7位だが、勝点15は首位とはわずかに2差。ルヴァンカップ1st1回戦で鳥取に2-0で勝利したあと、リーグ戦に戻り対戦した3試合はいずれも上位チームだったが、そこで2勝1分とさらに勝点を積んでいる。

第7節・広島戦は1-0と勝利し、第8節・柏戦は1-1のドロー。そして衝撃的だったのが直近の第9節・鹿島戦。前半で0-2とリードを許しながら、後半に奥川雅也、さらにラファエル エリアスの2得点で逆転。アディショナルタイムに追いつかれたが、終了の笛が鳴る前にカウンターからラファエル エリアスのゴールで突き放し、4-3で勝利した。鹿島のホーム無敗記録を27で止め、京都の鹿島戦アウェイ初勝利という記念すべき一戦となったが、それ以上にその勝ち方のインパクトが大きく、余韻はいまだに残っている。

京都は連戦中で、この試合が4戦目。鹿島戦から中2日で、アウェイという条件を考えると、1回戦・鳥取戦のような大幅な入れ替えがあってもおかしくない。

「京都さんは4-3-3の立ち位置から、相手がどこにポジションを取ろうが、どうずらしてこようが、基本的には矢印をどんどん前に向けてくる」(渡邉監督)
個のパワーもある京都の圧力に、団結したモンテディオが立ち向かう。

INTERVIEW選手インタビュー

  • FW No.11 藤本 佳希 選手

    INTERVIEW
    引き分けがなくて、勝つか・負けるかだけなので、勝てるように準備したいと思います。勝てば次に進めるので、鹿児島戦同様、そういうつもりでみんなやれればいいかなと思います。

    京都は映像も確認しましたし、ミーティングもしました。すごく特徴的なチームで強度も高いチームなので、それに対して自分たちが準備しているものだったり、自分がやれることは多いと思うので、勝つためにトライしたいと思います。

    手数をあまりかけてこないチームで、一番嫌なことを選択して、それを90分し続けられるチームだから、J1でもやれているんだと思いますし、J1の他のチームと戦っているのを見ても、京都が自分たちの土俵に持ち込んでやっているというのは、本当にタフだからだと思うので、自分たちが守備をするにあたっては、もちろんプレッシングは大事になってきます。ただ、蹴られたあとのセカンドとか、長いボールを入れてきたあとの京都が強みにしている部分でも負けないように、というのは、より意識しなきゃいけないので、みんながアラートで蹴らせて終わりじゃなくて、蹴らせてから回収するというところは、1個目のボールの競り合いも含めて大事かなと思います。
    INTERVIEW
  • MF No.14 坂本 亘基 選手

    INTERVIEW
    モチベーションはすごく高いです。カテゴリーとかあまり関係ないですけど、目の前の試合に競り勝ちにいきたいです。

    コンディションは、ルヴァンカップ・鹿児島戦の前からすごく上がってきて、僕自身もいいプレーが増えてきました。結果に結びつけるのが一番ですけど、そういうプレーを増やして、自分の自信をよりつけていく段階かなと思っています。

    リーグ戦でベンチから外れたことに対して納得はいってなかったですけど、「これは我慢、我慢だ」と自分に言い聞かせて、自分の武器を磨き続けるいいチャンスだなと思って、どれだけ外されてもいまは我慢して、自分のコンディション、パフォーマンスを保つように心がけていました。

    京都は前の圧力が強いので、守備も攻撃も「前に、前に」という感じで、その圧力を裏返すとか、逆に自分らから圧力をかけるぐらいの勢いが大事かなと思っています。
    INTERVIEW

KEY PLAYER キープレイヤー

城和 隼颯 選手

ポジション DF
身長 187cm
体重 88kg
生年月日 1998/8/25
出身地 千葉
前所属 ザスパ群馬

Shintaro KOKUBU

現在のチーム内競争について、渡邉晋監督が話す。
「ルヴァンカップの鹿児島戦まででリーグ戦は5試合。じゃあ、鹿児島戦で出た面々で、リーグの開幕戦に出た人間は何人いましたか?と言ったら、まあまあいるんですよ。ということを考えると、必ずしも『リーグ戦に出てないから』ではなくて、チームの流れとして現状、いまは出ていないというだけの話」

城和隼颯も「まあまあいる」なかのひとりだ。開幕の大宮戦では先発フル出場。しかし、第2節・水戸戦では登録20人に入ったものの出場はなく、第3節以降はベンチメンバーからも外れている。鹿児島戦ではセンターバックとして複数得点とクリーンシートの勝利に貢献して以降もこの状態は続いているが、まさに「いまは出ていないというだけの話」だ。

自分自身がそのいい例だ。昨年8月、開幕からフルタイム出場を続けていた群馬のレギュラーとチームキャプテンの座を投げうち、モンテディオに完全移籍した。すぐにベンチ入りして2試合に途中出場すると、第29節・横浜FC戦では、安部崇士の出場停止を受け、初先発を果たした。翌節からはベンチ外となり、連勝を重ねていくチームを公式戦のピッチで支えることはできなかったが、西村慧祐の負傷離脱で先発のチャンスが巡ってくると、最終節までチームの9連勝を支え、J1昇格プレーオフにも出場。第36節・熊本戦では、1-0の勝利に自身のゴールでも貢献した。

「チーム内でいまいい競争が生まれていると思いますし、日々のトレーニングから積み上げられているからこそ、ルヴァンカップ・鹿児島戦でのあのパフォーマンスがあると思います。サッカーは11人しか出られないので、スタメンの座をつかむために日々取り組んでいるものの成果が、練習試合やルヴァンカップに出ていると思います。」

ルヴァンカップ1回戦を終えたあと、城和自身が管理するnoteが更新された。その後段には、ある日本代表選手のインタビューの言葉が紹介されている。代表メンバーに招集されながら試合出場の機会が得られないその選手の部屋に森保一監督が赴き、試合に使うことができないことを謝ってきたとき、森保監督に向かってその選手が発した言葉だという。
「自分は絶対に使わせたいと思わせます。思わせていないということはまだ実力不足だし、いま使えないということは自分でもわかっている。」

柏レイソルU-18からのトップ昇格ができず、捲土重来を期して進んだ法政大学でも3年まで試合に絡めず、卒業後は引退するつもりで就職先も決めていた。それでも卒業して5年目、Jリーグのチームで仲間と切磋琢磨の日々を送っている。爽やかな見た目とまじめな性格の裏で、人知れず困難に直面し、乗り越えてきた。この試合の勝利は、ここまでもがいてきたことのご褒美だ。

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Hayate SHIROWA